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2017年10月17日(火)
- 建築さんぽ
アルベロベッロ・トゥルッリ伝統家屋群
イタリア南部のアルベロベッロにある「トゥルッリ」と呼ばれる伝統家屋群はアイア・ピッコラとモンティ両地区に1500件余りが現存し1996年世界遺産に登録されています。16世紀半ばから約100年間に開拓農民が建設してとんがり屋根の独特の景観を維持しています。石灰岩質の特性を活かした家造りは農民たちの厳しい生活環境に応じています。漆喰は外気を遮断して内壁と外壁の間に砂を詰め雨水をろ過し地下水槽に流すなど簡易ながら気候に適した工夫があります。当時のお墓のかたちを模倣した、また家屋に対しての課税対策のために簡易な造りにしたなどの諸説があります。実際に住んでいるご家族の屋内にお邪魔させて頂いたのですが夏の暑さとは対照的に湿度も低くとても涼しい快適環境に驚きました。それぞれ住まうご家族の趣味趣向で工夫された生活です。世界遺産地区ならではの保存条件のなかでここでは年一回外壁の塗り直しを行うといいます。住む方々の協力があっての世界遺産でしょう。