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2006年9月3日(日)
- 現場レポート
vol.4 「IH調理器具について」
オール電化を知る場合、先に「IH調理器具」についてある程度の理解がないと進み難いこともありますので ここでは詳しくIHをご案内しようと思います。
新築時に奥様がたが必ず質問されるキッチンコンロはガスかIHかで選ぶわけですが 取り分けIHコンロの安全性についての国際的防護指針内容、評価の方法等について紹介して参りたいと思います。
<安全性について>
① 電磁波・・・・・IH調理器は周波数20khz~60khz程度の磁界を金属の鍋に侵入させ て電磁誘導による渦電流を発生させ、そのエネルギーで鍋を過熱します。鍋そのものが発熱体になるので熱効率が高いことになります。
この加熱によって磁界の一部がキッチン周辺に漏れます。ここではIH特有の加熱周波数の磁界に絞りますが 交流電源周波数(50/60Hz)に比べ400倍から1000倍高いそうです。それでも携帯電話の一万分の一以下で、同じようなレベルのものはTV、パソコン端末のディスプレイ等があるようです。
従いまして、IHはエネルギーを伝える手段として磁界を発生させるために加熱コイル周辺の磁界が注目されていますが 人体が過剰な電界、磁界、電磁波にさらされないよう国際的に防護指針(ICNIRP)が各国で利用されています。
IH調理器の磁界に対応する周波数の磁界については 6.25マイクロテスラ(μT)という値が「参考レベル」を示しています。此れに対してトッププレート付近では300μTに達する測定になることがあるそうです。鍋が置かれる部分なので直かに人体は近づかないことになりますが ここで「参考レベル」の意味を説明する必要があります。
低周波磁界(100khz以下)では、電磁誘導による電界とそれによって身体を流れる電流作用が磁界そのものによる作用より先に現れるらしいのです。このため防護指針では「頭部、胴体に誘導される電流密度」を制限することを「基本制限」としています。20khzでは40mA/㎡です。ところが人体内部の電流密度の測定はできないので 電流密度を誘導出来る最小の磁界の強さを求めます。磁界が全身を正面から貫く場合に誘導電流が最大値となり この時の最大値に達する強さが前述しました6.25μTなのです。
従いましてIHに限りましては身体の一部が6.25μTを超える場合があっても基本制限を越えるとは限らないという「基本レベル」があるのだそうです。
その他にも実際の調理器から発生する磁界の測定値を人体モデルで詳細に計算をした事例もあるようですが 機種他、すべてが同じ条件のもとで実行できるものではありません。そこで一般の方でも簡易に判断できる測定方法が開発されました。
それは トッププレートの端から30cmの距離の位置の垂直線上での磁界の最大値レベルを超えなければ基本制限を越えないと考えて良いということになりました。この評価方法は国際電気標準会議(IEC)の国際規格として提案され 2005年に承認されました。(以上のご説明につきましては各フォーラム、セミナー等のご協力を頂いております。)
電磁界の影響について、様々な研究報告がありますが未解明、未確立のものはどの分野でも例外なく存在します。絶対もないと思います。
各ご家庭の日常生活の視点でメリット・デメリットのバランスが巧く保たれていることが一番重要だと感じます。Shouko
