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2024年3月12日(火)
- 建築さんぽ
衣食住の奇跡 ―モンゴルの暮らし方―
日本の昭和世代の「食」は、六つの基礎食品や五大栄養素などのワードを生み、給食を含めて栄養事情が徐々に整えられてきました。「被服」もファッションの流行があり、「住まい」もサスティナブルな省エネ住宅が義務化されつつスタンダードは常に進化しています。そういった世界とは正反対の寒暖差の厳しい風土、農産物が育たぬ草原、移動式の住まいという潔いほど物を持たず、野菜や果物も作れない暮らし。この環境で暮らしているのは奇跡に映ります。分野によっては、「奇跡」は少なからずあるようです。可成り余談ですが、約1000日間祈りながら山中を歩き続け、断食水・不眠・不臥で真言10万回を唱えて堂入りする、僧侶の千日回峰行は医学界の常識を超えた身体、いわゆる生きながら体は疾うに死んでいる状態だそうだ。実際、遊牧民の衣食住の環境は修行僧を連想しても誇張ではない域にいる気がする。建築さんぽの名の通りに建築物の記載がメイン枠ですが、建築物は申し訳程度しか書けていない。この地に佇むと、厳しい風土環境で人々を生かしている強い自然のエネルギーしか感じなくなる。人工・加工のものなど霞んでしまい忘れてしまう、きっと原初の人間に還るような場所なのだろうと。